2018年06月30日

横須賀市の土地利用調整関連条例の改正案のパブリックコメントについて

 横須賀市が5月から6月にかけてパブリックコメントで市民意見を求めた土地利用調整関連条例の改正案(横須賀市のホームページ参照)は、開発行為となる基準を、
 1、30Tを超える切土盛土から、切土2m盛土1mを超えるものに緩和する
 2、敷地の統合で公共施設の整備の必要ないものを、区画の変更から除外する
 3、調整池容量の算定基準を全体面積から過去に土地利用されていた区域を除外する
というもので、私達市民の運動によって他の自治体より厳しくさせてきた横須賀市の開発行為の基準を、元通り緩くしようとするもので、これでは再び市内に乱開発が多発しかねません。

 そもそも人口減少を防ぐために、住宅供給の選択肢を拡大するという改正趣旨は誤っています。市内の人口が減っているのは、雇用先が減少していること、東京から遠いこと、都市イメージが良くないこと等が原因です。そこに安くて危険で質の悪い住宅がたくさん建設されるようになれば、都市イメージはますます低下し、土砂崩れ等が発生すれば致命的ダメージを受けることとなってしまいます。

 これまでに横須賀市が神奈川県等よりも規制を強化してきたのは、県の基準があまりに緩すぎ、斜面地の多い横須賀に合わず、乱開発による周辺住民との紛争が多発したのと、宅地造成法と建築基準法の規制では不十分で、開発許可手続を経ないと危険だからです。
開発行為の要件を緩めると、開発行為逃れによって、横須賀市と市民が乱開発をチェックできなくなり、横須賀市の都市計画行政の大きな後退であり、市民の安全や環境もなしがしろにされることとなるので、今までとおりの基準を維持すべきです。

 上記見直しの概要1『形の変更』については、横須賀市も以前にはこの県の2mを超える切土、1mを超える盛土の基準だったが、そのため湘南鷹取の10階建地下室マンションが開発行為に該当せず、建築確認のみで計画されたのに対して、私も代理人でしたが住民から開発行為逃れと訴訟提起され、裁判所も開発行為に該当として建築確認が取消され市が敗訴したことを契機に、現行の厳格な基準としたものです。
 今再び、切土盛土基準を県の基準に戻してしまうと、当時と同様に、斜面地の造成行為の大部分を建物の建築と一体の行為であるとして、同様の危険な開発逃れの造成、建築行為が多発するようになってしまうから、断じて認めるべきではありません。
 また、道路からのアプローチとしての部分的スロープ、階段、駐車場の設置行為を除くとの規定も、斜面地における同様の危険な開発逃れの造成、建築行為が多発する原因になってしまうから、断じて認めるべきではありません。

 上記見直しの概要2『区画の変更』についても、県の基準のもとになっているのは建設省昭和62年通達の再開発型開発行為についての『切り土、盛り土等の造成工事を伴わずかつ、従来の敷地の境界の変更について、既存の建築物の除去や、へい、かき、さく等の除去、設置が行われるに止まるもので、公共施設の整備の必要がないと認められるもの』を区画の変更としないというものです。横須賀市も以前にはこの基準に従っていたが、湘南鷹取の10階建地下室マンションの裁判で、裁判所も切り土、盛り土等の造成工事を伴わずを厳格に解釈したため敗訴したことを契機に、現行の厳格な基準としたものです。
従来から建築物の敷地であった土地という概念と、県の基準である公共施設の整備の必要がないものという概念が同じであるのかはっきりしませんが、仮に同じだとすると当時以上に、斜面地の異質な土地の統合、分割による開発行為を公共施設の整備の必要がないことのみにより、開発逃れの行為が多発するから、断じて認めるべきではありません。
また建設省昭和62年通達の『切り土、盛り土等の造成工事を伴わず、かつ、従来の敷地の境界の変更について、既存の建築物の除去や、へい、かき、さく等の除去、設置が行われるに止まるもので』という要件がパブリックコメント資料には触れられていません。この要件を無視すると、市の基準に従った開発逃れ計画が、裁判所で従前と同様に違法と判断されて、事業者から市が多額の損害賠償請求を受けることとなりかねません。

 上記見直しの概要3『雨水調整池 雨水浸透施設』については、横須賀市が今までの基準を取ってきたのは、昭和49年の平作川水害を初めとして、乱開発による保水力の低下が多くの土砂崩れや水害を招いた歴史を踏まえ土砂崩れや水害を防ぐためであり、異常気象、集中豪雨の増加する昨今、その必要性は増している。このような、従前土地利用されている土地を調整池容量算定の基礎から除外する例は県内のいずれの自治体にも見られない、許しがたい緩和、後退です。
昭和58年の時点の市の排水計画自体、十分な、完全なものとはいえません。土地利用されていたとの基準も曖昧であり、土地利用されていた土地でも利用形態や植生、建蔽率や雨水浸透率の変化により保水力は変化するから除外する合理性がない。 また開発の単位が大きくなるほど、災害の規模は大きくなるから、面積単位ごとに、調整池の容量を大きくすることには合理性があり、一律とする合理性はありません。
 また雨水浸透施設では、防災の効果は不十分であり、むしろ地盤の不安定化を招くからその併用を認めるべきではありません。
結局、この改正案によると、雨水調整池の基準が大幅に緩和され、乱開発が増えて周辺住民が危険に晒されることとなり、一旦災害が起これば多額の復旧費用を市が負担したり都市イメージに大きな打撃を受けることとなるので改正すべきではありません。

 以上のとおり、これまでの市民の声をバックにした横須賀市の開発行政についての先進的姿勢を忘れることのないよう、この逆戻りの改正案を撤回するよう、強く求めます。
posted by BlogMaster at 22:00| Comment(0) | 呉東正彦の提言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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